里親についてよくあるQ&A
里親について、まだまだ身近とは言い難い現状であります。「里親に興味がある」「里親制度を知りたい」と考えても、今ひとつ里親についてイメージし難いのではないでしょうか。私たちこどもピースには、里親体験談を聞く会や各サロンなどを通して様々な質問が寄せられます。
そうした皆様の少しでも力になればと、簡単にですが「よくあるQ&A」を纏めました。
※あくまでも「よくある質問」に対し「スタッフによる大まかな答え」にとなります。里親の実情については実際とは異なる場合があります。また、制度についても里親目線から答えるものであり、実際の制度について明言するものではないことを予めご了承ください。
里親制度について明確な返答については、お住まいの管轄の児童相談所へお尋ねください。
基本
生活面においては大きな違いはありませんが、養育の里子は手術の際には実親の同意書が必要であったり、受けさせる医療・教育などの決定権は実親にあります。実親と里子の関係の在り方で里親家庭への影響の範囲も変わってきます。また、「ずっと家にいる子(養子縁組)」と「いつか帰る子(養育)」など、里親の心情的な違いも感じられるかと思います。
定められた制限はございませんが、生活状況などをお伺いする中で児童相談所とともに相談することになります。
委託開始される年齢層の割合は、0〜2歳が40%。3〜6歳が30%、7〜11歳が15%、12歳以上で15%となっております。低年齢で委託が開始される割合が高くなっております。
養子縁組里親については夫婦での登録が必要になります。養育里親についてはどちらか一人でも登録が可能になります。
しかし、委託には夫婦・ご家族の理解と協力は必要となりますので、夫婦での研修受講と登録が望ましいと考えられます。
里親登録は可能です。ただし、子どもの委託には里親の転勤等の状況を考慮して行います。転勤等の予定や可能性については前もって児童相談所へお伝えください。
また、里親登録後に市街へ転居となった場合には、転居先の児童相談所での再度登録していただく必要があります。一部の場合には研修の一部が免除となる場合があります。
可能です。登録されている里親さんたちの中には実子や祖父母と生活をともにしているご家庭もあります。登録の際の児童相談所からの家庭訪問調査の際に、実子にも意向調査などを行います。
里子の委託にはご家族の理解と協力が必要になります。
可能です。受け入れ可能な児童や状況などについて意向調査を児童相談所が行なっております。ただし、その意向に沿ったお話が来るとは限りません。
養子には法律上の親子関係がありますので相続権があります。養育での里子にはありません。
養育里親に委託される子どもは、個々の状況により委託期間も様々です。児童相談所が作成する支援計画に基づき、実親の意向も踏まえて委託期間は考えられています。
数日の一時保護やショートスティ、レスパイトとしての短期間委託の場合もあります。
女性側からの話をされることの方が多い印象ではあります。ですが、話し合いの末に互いで決めたというご夫婦もいらっしゃいます。「漠然とした不安」「世間体を気にして」「周りが理解してくれるか」「胡散臭い」「心に傷を負った子を受け止められるか」などの不安や抵抗があったというのはよく耳にします。里親の体験談を聞いたり、児童相談所へ質問したり、ご夫婦でしっかり話をされ、皆さんそうした不安や抵抗を乗り越え登録されています。
里親になるというのは子どもの生育について責任を持つということになります。家庭に招き入れ、生活を共にし、その中での支援の主軸は里親さんになります。とても重い責任であります。しかし責任を持つとしても、実親さんや児童相談所の方が支援方針やその時々に応じての決定権に持っています。その上で、自身が担う責任を理解し、背負う決断へと至りますと、登録へと足を進めるのかと思われます。
多くの場合には特段に行うこともなく変わらずの日々を過ごされている方が多くかと思われます。しかし内心は「いつ委託が来るか」でいっぱいかと思います。委託となれば生活も一変しますので準備をしておきたいと思う方もいらっしゃいます。ただ、里親制度は子どもをお配りするサービスとは異なりますので、思うようにことは進みません。せめてと、児童相談所に幾度も通い関係者とコミュニケーションを取り、その時に備えておられる方もいらっしゃいます。
決して登録順に子どもの委託先を決めているわけではありませんので、2〜3ヶ月で打診があるケースもあれば、2年以上経っても相談もない場合もございます。子どもの状況と里親の状況を検討した上で児童相談所より声がかかります。
養育・養子縁組を両方の受け入れを可能とし、受け入れ可能な状況が多様なほどマッチングのお話はしやすくなります。ただ、養子縁組と養育ではその性質も異なりますので、ご家族でよく話し合われることをお勧めします。
里親の意向のみでそれが行われることはありませんが、子どもや実親の意向などから児童相談所が調整を行い、可能となる場合もあります。
養子縁組・養育に関わらず、実親さんの情報や子どもの状態などの多くは児童相談所から教えて頂けるようです。また委託を受けた後も、情報の変化や経過については逐一教えて頂ける場合が多いようです。ただし、児童相談所も実親さんやこれまでの状態について十分に把握できていない場合もあり、情報を得ることが難しい委託の場合もあります。
養育の場合には、親子関係再構築や家庭復帰支援のために、実親さんと子どもの交流が行われる場合があります。交流の形については、間に児童相談所が入り、実親さんや子どもの意向と里親がどのように対応できるかが調整され、各ケースごとの様々な形で行われます。また、養子縁組についても、実親さんと里親で意向が一致すれば行われる場合もあるようです。
小さい頃から真実告知をし、里子・養子が特別な事としてあまり重要視させないように気をつけたり、産んでくれた実親さんも大切にしていくように心がけています。また、血縁がないのでアレルギー等の問題にも気をつけております。
ご心配はよくわかります。里子ということで子どもが何かデメリットを被るのではないか。そうした場面が零というわけでなありませんが、多くのケースの場合には温かく受け入れられ、家族として、友人として、地域住人として過ごせている場合が多くあります。
児童福祉の中核は「子どもの最善の利益」になります。これを書いている私の個人的な見解になってしまうかもしれませんが、子どもに秘密をもたす、また子どもに隠し事をする行いは、子どもの自尊心を傷つけるとともに彼らの自己肯定感を著しく下げる結果を招きかねません。それぞれがそれぞれらしく、自分として道を歩いていく。その為にも隠すことなくあられるのが良いのではないしょうか。もちろん、偏見や差別のある社会ですので全てを明かすことで起こる障害もございます。しかしそれに臆することなく、ありのまま歩いていける道を探すことができれば良いなと考えております。
里親に委託する場合には、実親の里親委託への理解と同意が必要になります。実親の中には里親委託に抵抗を持たれる方も少なくありません。
また、実親との交流をはじめとした親子関係再構築の観点や、子どもの抱える課題等からその支援方針として、里親委託よりも施設入所が適正と判断される場合もあります。
里親側のニーズとしましても、様々な里親がいらっしゃるように、受け入れられる体制も様々になります。
子ども・実親・里親のニーズを調整しながら、多くの子どもが里親宅での安定した養育を受けられるよう勧めている現状であります。
万が一、委託中の子どもが事故にあったり、事故などを起こした里親に賠償責任が発生する場合に備え「里親総合保険制度」があります。補助により里親への負担はありませんが、名古屋市里親会への加入が利用の条件となります。
里親会加入は強制ではありません。入らないという選択も可能です。ただ、前提としまして子育ては孤立したご両親だけでは行えるものではありません。社会や地域と繋がり、協力を得ながらでなければ難しくあります。また、児童相談所の関わる児童に関してはよりナイーブな支援が必要となります。行政との上下関係ありきの中では話がまとまらない場合もあります。また、里親会に入って頂ければピュア(対等)な支え合いを構築していくことが出来ます。子どもたちからしても自分と境遇の子がいるというのは安心につながり、ゆくゆくは支え合える関係に繋がるのではないでしょうか。ぜひ里親会への加入をよろしくお願いいたします。
また、里親保険制度の利用に際して名古屋市里親会への加入が条件ともなっております。
事実上養子縁組が成立している場合には、里親登録から離れましてもその関係をなかったことは原則行えません。実の親と変わらない立場になるということになります。
養育里親に関しましては、受けている委託を解除し辞めることが可能です。また、養育里親として活動中に、里親として適切でないと判断された場合には行政側から里親登録抹消が行われることもございます。